オフィスのリース満了やシステム刷新に伴い、「使わなくなった複合機やプリンターをどう処分すればよいか」と悩む総務・情シス担当者は少なくありません。廃棄処分では費用がかかるうえ、内部に残った印刷履歴やスキャンデータの漏えいリスクも見落とせないポイントです。
中古複合機・プリンターは、適切な買取業者に依頼することで廃棄コストをゼロにできるだけでなく、場合によってはまとまったキャッシュバックも期待できます。本記事では、法人担当者が押さえておくべき買取の基本知識から、査定額を上げるための実務的なコツ、信頼できる業者の選び方まで、具体的かつ順を追って解説します。
法人が中古複合機・プリンターを買取に出すべき理由
オフィスの機器刷新や拠点統廃合、テレワーク移行などのタイミングで、複合機やプリンターが不要になるケースは少なくありません。そのとき「どう処分するか」の選択肢は大きく3つあります。廃棄業者への依頼、リース会社への返却、そして中古複合機・プリンターの法人買取です。この3つを比較すると、買取を選ぶ経済的・実務的なメリットが明確に浮かび上がります。
廃棄コストとの比較|「払う」から「受け取る」へ
複合機や業務用プリンターは産業廃棄物として扱われるため、廃棄処理には専門業者への依頼が必要です。機種のサイズや重量によって異なりますが、複合機1台あたり数千円から数万円の廃棄費用が発生するケースが一般的です。複数台をまとめて処分する場合は、その費用がそのまま乗算されます。
一方、買取に出せば費用がかからないだけでなく、査定額がキャッシュとして手元に戻ります。たとえ査定額が小さくても、廃棄コストと合算すれば総額の差は無視できません。「不用品の処分にコストをかけている」という状況は、総務・経理の観点から見直す価値があります。
キャッシュバックによるコスト回収|新規導入費用の一部に充当できる
機器の入れ替えを行う企業にとって、旧機器の売却益は新規導入コストの原資になります。新しい複合機のリース料や購入費用の一部を、旧機器の買取金額で補填できれば、実質的な出費を抑えられます。
特に複数台をまとめて査定に出す場合は、1台あたりの交渉余地も生まれやすく、まとまったキャッシュバックが期待できます。予算が限られる中小企業や、機器更新のタイミングが重なる法人にとって、買取は資金繰りの面でも有効な手段です。
自社所有機とリース返却機の違いを確認する
買取に出す前に、対象機器の所有権がどこにあるかを必ず確認してください。これは実務上、最も見落とされやすい確認事項の一つです。
- 自社所有機(購入機):買取に出すことが可能。査定・売却のプロセスをそのまま進められます。
- リース機:所有権はリース会社にあるため、原則として買取に出すことはできません。リース満了前に売却しようとするとリース契約違反になる場合があります。リース期間終了後に再リースや返却ではなく「買い取りオプション」を行使した場合に限り、その後の売却が可能になります。
月額リース料を支払っている機器を誤って買取に出してしまうトラブルは実際に起きています。契約書や法人端末の除却・売却と資産管理の流れを事前に確認し、固定資産台帳と照合した上で対象機器を特定することが重要です。
不用資産の適切な処分という視点
複合機・プリンターには内部ストレージやメモリが搭載されており、過去に印刷・スキャンしたデータが残っている場合があります。単純に廃棄するだけでは、情報漏えいリスクへの対処が不十分になる可能性があります。専門の買取業者に依頼すれば、データ消去証明書の発行を含めたセキュアな処分が可能です。
適切な処分記録を残すことは、コンプライアンス上の義務を果たすことにもつながります。「売れるから買取に出す」だけでなく、「証跡を残した適正処分」として買取を活用するという視点も、法人担当者には重要です。
買取対象になる複合機・プリンターの種類と主要メーカー
「自社の複合機やプリンターは買取対象になるのか」と疑問を持つ法人担当者は少なくありません。結論から言えば、主要メーカーのオフィス向け機器であれば、多くのケースで買取査定の対象になります。ただし、機種の種別やメーカーによって市場での流通性に差があり、査定額にも影響します。ここでは、メーカーごとの特徴と機種別の需要について整理します。
主要メーカーごとの流通性
- コニカミノルタ(bizhub シリーズ):中堅〜大企業に幅広く導入されており、中古市場での流通量・需要ともに高水準。特にA3カラー複合機は再販ルートが豊富で、比較的高値での買取が期待できます。
- リコー(RICOH IM シリーズ、SPシリーズ):国内シェアが安定しており、中古需要も旺盛。型番によっては消耗品の入手が容易なため、再利用目的での引き合いが多い傾向があります。
- フジフイルム(旧富士ゼロックス・ApeosPort シリーズ):企業での採用実績が高く、部品・トナーの流通性も良好。特に直近3〜5年以内のモデルは買取評価が出やすいです。
- キヤノン(imageRUNNER・MAXIFY シリーズ):ブランド認知が高く、中古需要は安定。大型のimaegRUNNER ADVANCEシリーズはオフィス向け再販市場で人気があります。
- シャープ(MX シリーズ):大画面タッチパネルを特徴とするMXシリーズは中小企業向けの中古需要が根強く、状態が良ければ査定評価を得やすいモデルです。
- 京セラ・ブラザー:台数は少なめですが、小〜中規模オフィス向けとして一定の買取ニーズが存在します。
機種の種別ごとの需要の差
買取査定では、機種の種別も重要な判断材料になります。以下に需要の目安を示します。
- A3カラー複合機(コピー・FAX・スキャン・プリント機能一体型):中古市場でもっとも需要が高いカテゴリ。特に印刷速度が毎分20枚以上のモデルは評価されやすい。
- A3モノクロ複合機:カラー機ほどではありませんが、コスト重視の企業からの需要が継続しており、買取対象になるケースが多い。
- A4カラー・モノクロ複合機:小規模オフィスや在宅勤務対応用として一定の需要があります。ただし、機種の新旧によって査定額の差が大きくなりやすい。
- A3・A4対応インクジェット複合機(家庭用に近いモデル):業務用レーザー機と比べて中古流通性が低く、査定額は低めになる傾向があります。ただし、エプソン・キヤノンの業務用インクジェット(例:MAXIFY・PX シリーズ)は別途評価されます。
- 大判プリンター(A1・A0対応):設計・建築・製造業向けに特殊需要があり、状態次第では高額査定になることもあります。
買取対象外になりやすいケース
以下に該当する機器は、買取が難しいか、査定額がつきにくい傾向があります。
- 製造から10年以上経過しており、メーカーのサポートが終了しているモデル
- ドラムや定着ユニットなど主要消耗部品が著しく劣化している機器
- 外装の破損・液晶パネルの割れなど外観上のダメージが大きいもの
- 印刷カウンターが極端に多い(目安として100万枚超)機器
判断に迷う場合は、まず専門業者に無料査定を依頼するのが確実です。型番と製造年、カウンター枚数を事前に手元に用意しておくと、スムーズに査定を進められます。法人端末の除却・売却と資産管理の流れも併せて確認しておくと、複合機の処分計画全体を整理しやすくなります。
査定額を左右する5つのポイント
法人が中古複合機・プリンターを買取に出す際、査定額は機器の状態や付属品の有無によって大きく変わります。売却前に以下の5つのポイントを確認・整理しておくだけで、受け取れる金額が変わることも珍しくありません。担当者がすぐに使えるチェックリストとして活用してください。
①製造年式・使用年数
複合機・プリンターの査定において、製造年式は最も基本的な評価軸の一つです。一般的に製造から5年以内の機種は流通需要が高く、査定評価が期待できます。一方、製造から7〜8年以上経過した機器はメーカーの保守部品供給が終了しているケースも多く、買取対象外となる場合もあります。型番から製造年を確認できない場合は、導入時の納品書や固定資産台帳を参照しましょう。
②印刷枚数カウンター(ページカウント)
複合機には本体内部に累積印刷枚数を記録するページカウンターが搭載されています。この数値は査定時に必ず確認される項目であり、カウント数が少ないほど高評価につながります。操作パネルの「機器情報」や「サービスモード」から確認できる機種が多く、事前に印刷しておくと査定がスムーズです。目安として、モノクロA3機であれば50万枚以下、カラー複合機であれば30万枚以下が比較的高評価を受けやすい範囲とされています。
③外装・消耗品の状態
本体の傷・凹み・汚れの程度も査定額に直結します。オフィス移設時の傷や搬送傷は減額要因になるため、売却前に乾いた布で清掃するだけでも印象が変わります。また、トナー残量・ドラムユニット・定着ユニットなどの消耗品の残量や劣化具合も確認対象です。消耗品が極端に減っている場合や、エラーコードが頻発している場合は事前に申告することをおすすめします。隠していた不具合が後から発覚すると、査定額の再算定や取引トラブルにつながります。
④付属品・マニュアルの有無
電源ケーブル・給紙トレイ・増設フィーダー・フィニッシャー(ステープル機能ユニット)など、オプション品・付属品が揃っているほど査定評価は上がります。特に増設トレイや大容量フィーダーは単体でも需要があるため、本体とセットで出すことが重要です。操作マニュアルや設定ガイドなどの書類も可能な限り用意しましょう。購入時の納品書や保守契約書があれば、機器の来歴証明として加点要素になります。
⑤需要の高い機種かどうか
同じ状態・同じ年式でも、市場での流通需要が高い機種かどうかで査定額は大きく異なります。富士フイルムビジネスイノベーション(旧富士ゼロックス)・キヤノン・リコー・コニカミノルタ・シャープなどの主要メーカーの主力モデルは中古市場での需要が安定しており、高評価が期待できます。特にA3対応カラー複合機や、セキュリティ機能・FAX機能を備えたオフィス向けモデルは買取需要が高い傾向にあります。マイナーなOEM機や生産終了から年数が経ちすぎた機種は、部品調達の観点から低評価になることもあります。
売却前の確認チェックリスト
- 型番・製造年式を納品書や本体ラベルで確認済みか
- ページカウンターの現在値を印刷または記録したか
- 本体外装の傷・汚れを清掃・確認したか
- トナー・ドラムユニットなど消耗品の状態を確認したか
- 電源ケーブル・給紙トレイ・オプション品を一式揃えたか
- エラーコードや不具合がある場合、内容を把握・メモしたか
- 導入時の書類(納品書・保守契約書)が手元にあるか
これらを事前に整理しておくことで、法人端末の除却・売却と資産管理の流れをスムーズに進めることができ、査定担当者との情報共有も的確に行えます。準備の手間は最小限でも、査定額への影響は決して小さくありません。
データ消去と情報漏えい対策|法人が必ず確認すべき手順
複合機のHDDに蓄積される情報リスクを正しく理解する
多くの企業が見落としがちなのが、複合機・プリンターに内蔵されたハードディスク(HDD)やフラッシュメモリに蓄積されるデータのリスクです。現代のビジネス向け複合機は、印刷・コピー・スキャン・FAXの各ジョブを一時的または恒久的に内部ストレージへ記録する仕組みを持っています。契約書・請求書・人事資料・顧客情報といった機密性の高い文書データが、気づかないまま大量に残存しているケースは珍しくありません。
リース満了や買い替えに伴って複合機を手放す際、このデータを適切に消去せずに売却・返却してしまうと、個人情報保護法や社内の情報セキュリティ規程に違反するリスクが生じます。万が一データが流出した場合、企業の信用失墜はもちろん、行政指導や損害賠償請求に発展する可能性もあります。買取に出す前に、必ずデータ消去の対応を確認することが法人担当者の責務です。
データ消去の主な方式と選び方
買取業者に求めるデータ消去の方式は、大きく以下の2種類に分かれます。自社のセキュリティポリシーや取り扱うデータの機密レベルに応じて、適切な方式を選択してください。
- 上書き消去(ソフトウェア消去):専用ソフトウェアを使ってHDD全領域にランダムなデータを複数回上書きする方式。IPA(情報処理推進機構)が推奨する手法に準拠した方法であれば、通常の業務データの消去としては十分な水準とされています。機器を再利用・再販する場合に適しています。
- 物理破壊:HDDをドリルや専用シュレッダーで物理的に破壊し、データの読み取りを不可能にする方式。機密レベルが極めて高いデータを扱う企業や、官公庁・医療機関など法令上の要求が厳しい組織に向いています。ただし、機器そのものの買取価値はゼロになる点に注意が必要です。
買取業者に必ず確認すべき4つのチェックポイント
- データ消去の実施タイミング:機器の引き渡し前に自社で消去するのか、引き渡し後に業者が行うのかを明確にする。引き渡し後に業者対応となる場合は、その手順と実施体制を書面で確認すること。
- 消去方式の明示:上書き消去・物理破壊のどちらに対応しているかを確認し、自社のセキュリティ規程と照合する。
- データ消去証明書の発行:消去作業が完了した証跡として、消去証明書(完了報告書)を書面またはPDFで発行してもらえるかを必ず確認する。社内監査や取引先への説明責任を果たすうえで不可欠な書類です。
- 作業担当者のセキュリティ体制:NDA(秘密保持契約)の締結有無や、作業スタッフの管理体制についても確認しておくと安心です。
個人情報保護法・社内規程との整合性を確保する
個人情報保護法では、個人データを取り扱う機器を廃棄・譲渡する際に「必要かつ適切な措置」を講じることが義務付けられています。複合機に残存するスキャンデータや送受信FAXの履歴も、個人情報を含む可能性がある以上、同法の対象となり得ます。また、ISO27001やプライバシーマークを取得している企業では、社内規程上も廃棄記録の保管が求められるケースがほとんどです。
法人ハードディスク廃棄とデータ消去の手続き全般については別途ガイドで詳しく解説していますが、複合機の場合も基本的な考え方は共通です。買取業者を選ぶ際には、査定価格だけでなく消去証明書の発行実績と対応方式を比較軸に加えることが、法人担当者として取るべき実務的な判断です。
法人買取の流れ|問い合わせから入金までのステップ
「いざ複合機やプリンターを手放したいが、どこから手をつければいいか分からない」という法人担当者も多い。ここでは、無料査定依頼から代金振込までの一連のステップを時系列で整理する。全体の所要日数は機種・台数・状況によって異なるが、スムーズに進めば最短即日での対応も可能だ。
ステップ① 無料査定依頼
まずは電話・メール・Webフォームのいずれかで問い合わせる。このとき、メーカー名・型番・製造年・使用年数・大まかな状態を伝えると、初回のヒアリングがスムーズになる。型番はプリントパネルや機体背面のシールで確認できる。「型番が分からない」という場合でも、正面・側面の写真を送れば担当者が特定できるので安心してほしい。
ステップ② 現地訪問または写真査定
査定方式は大きく2パターンある。
- 写真査定(リモート査定):複数枚の画像をメールやチャットで送るだけで概算額を提示。移動コストがかからず、まず相場感をつかみたい場合に最適。
- 現地訪問査定:担当者が直接オフィスや倉庫に伺い、実機を確認した上で正式な査定額を提示。大型複合機や複数台のまとめ処分の場合は、この方式が正確な金額を出しやすい。
複数台・大量処分の場合は現地訪問を強く推奨する。搬出ルートや台数を実際に確認することで、見積もりの精度が上がり、後のトラブルを防げる。
ステップ③ 買取金額の提示と合意
査定が完了すると、書面または電子メールで買取金額が提示される。この段階でキャンセルしても費用は発生しない(無料査定のため)。金額に納得できれば合意書にサインして次のステップへ進む。複数台の場合は一台ごとの内訳を確認し、合計金額と相違がないかチェックしよう。
ステップ④ 搬出とデータ消去
合意後、スタッフが機器を搬出する。複合機にはHDDやフラッシュメモリが内蔵されており、スキャンデータや送受信履歴が残っている場合がある。専門業者であれば搬出時にデータ消去を実施し、消去証明書を発行することが可能だ。情報漏えいリスクを排除するためにも、証明書の発行を必ず依頼したい。まとめ|複合機・プリンターの法人買取は専門業者への相談が近道
ここまで、法人が中古複合機・プリンターを買取に出す理由から、査定額を左右するポイント、データ消去の手順、そして実際の買取の流れまでを解説してきました。最後に、記事全体の要点を整理しながら、スムーズに売却を進めるためのポイントを振り返ります。 複合機・プリンターの法人買取を検討するタイミングは主に以下の3つです。適切な時期を逃すと、機器の劣化が進んで査定額が下がるケースもあるため、早めに動くことが大切です。 買取査定を依頼する前に、以下のポイントを確認しておくと、スムーズに高価買取につながりやすくなります。買取を検討すべき代表的なタイミング
査定額を高めるために押さえておきたいポイント
データ消去は必ず専門業者に依頼する

